今年(第27回)の新美南吉児童文学賞は、山中利子さんの詩集『遠くて近いものたち』(2008年・てらいんく)に贈られました。おめでとうございます。
贈呈式は、7月1日(水)、東京都豊島区の自由学園明日館で行われました。
●山中利子さんのコメント(「新美南吉記念館だより」143より)
「ひっそりと生きて本当の詩を」
新美南吉の詩集を読んだのは、今年の春のことです。
昨年の秋に発行されたハルキ文庫を求めたのです。彼の童話は大好きですが、その多様な詩作品を知って作家であり詩人であるその人の姿が、一層生々しく迫ってまいりました。温かく優しく淋しいその人となりが(私自身がまるで新美南吉という先生の生徒でもあったかのように)懐かしく、胸がいっぱいになりました。
ユーモアとウィットに富んだ詩、人生をしみじみと感じさせる詩、心というものに気づかされてきたこの頃、時代を超えて新しいということ、又変わらぬ心というもののことを思わせられました。蝶やトンボ、こおろぎ、様々な風景を一緒に味わいながら、その世界に没入致しました。特に「小さな星」という詩の中の(…風が吼える晩や/霧が湧く夜は/どっかへ隠れてしまいます/…月が照らす空や/窓の明るい街では/自分の火をふきけしてしまひます/…梢の小枝にひっかかって/…)という所や「墓碑銘」の(この石の上を過ぎる/小鳥達よ、/しばしここに翼をやすめよ/この石の下に眠っているのは/お前達の仲間の一人だ/何かの間違いで/人間に生まれてしまったけれど/…)等の言葉が、今も心に鳴り響いています。
拙ない詩を綴りながら老年を迎えた今、思いがけずにこの先生の名を冠した素晴しい賞をいただいたことは、只々感謝の言葉の他にはありません。私も又、南吉のように真摯に生きていきたいと思います。
●プロフィール
昭和17年、茨城県土浦市に生まれる。国立療養所東京病院付属高等看護学院卒。現在詩誌「マグノリアの木」同人。著書に詩集『早春の土手』(花神社)、『だあれもいない日』(リーブル・三越左千夫少年詩賞)、エッセイ集『かわいや風の子」(日本出版制作センター)等がある。
新美南吉児童文学賞は、新美南吉著作権管理委員会(現・新美南吉の会)が1983年に制定した賞で、1999年からは半田市も同会を通じて後援しています。同時に選考・表彰される赤い鳥文学賞、赤い鳥さし絵賞と合わせて「赤い鳥3賞」とも呼ばれています。
今年の赤い鳥文学賞と赤い鳥さし絵賞は次の方に贈られました。おめでとうございます。
<第39回赤い鳥文学賞>
森山京著 『ハナと寺子屋のなかまたち』 理論社
<第23回赤い鳥さし絵賞>
ささめやゆき画 『彼岸花はきつねのかんざし』 学習研究社 (朽木祥著)
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